歯科の処置は観血的処置(出欠をともなう処置)が多く、感染の危険性が高い分野です。
この院内感染に対する対策は本来ならば必要不可欠でしょうが、費用がかかる割には診療報酬などの評価がないため不十分な医院が多いのも事実です。
歯科を受診するときに自分自身で見極める以外に自分を守れないかもしれません。
院内感染の経路
1.患者さん→歯科医またはスタッフ→患者さん
2.患者さん→器材→患者さん
一般的な院内感染対策
1に対して
患者さんに対する問診などでの振り分け
手袋やマスクの着用
2に対して
使い捨ての器材の使用
器材の滅菌
ワンランク上の院内感染対策
口腔外バキュームの使用
患者さんに対する問診などでの振り分け
はじめから感染症であることかわかっていればそれなりの対策をとることができます。
私たち歯科医は差別をするつもりで聞いているのではないのですが、なかには差別されると思い黙っている方もおられます。
実際に感染症であることを伝えたら診療を拒否されることもあるようですが、このような歯科医は所詮感染対策も不十分で診療を受ける価値はないと考えます。
また自分自身が感染症であることに気づいていない、まだ知られていない感染症であることも多く、患者さんの振り分けは大きな効果を期待できないのが現状です。
手袋やマスクの着用
手袋の着用はよく患者さんから自分を守るために着用していると思われていますが、歯科医は仕事上感染率が高い仕事で、いつ感染するか、感染しても発症するまで感染に気づかないことも多く、その間に多くの患者さんに感染させないために手袋をしています。
手袋を使いまわすようなことがあれば、これは自分を守ってるとしかいえませんが
使い捨ての器材の使用
一般的にコップ、エプロン、手袋などが代表的なものだと思います。
これらは必ず使い捨てのものを使わないといけないわけではありません。きちんと洗浄滅菌されていれば問題ないと考えます。
実際に聞いた話ですが、経費節約のため「使い捨て器材の使いまわし」をしているところもあるようです。コップはホルダーや保管場所から出てきているか、エプロンはストッカーなどからしわのないものが出てきているか、手袋は患者ごとに新しいものを使っているかチェックしてください。
滅菌とは?
滅菌とはすべての細菌を死滅させることであり消毒とは意味が違います。
消毒は定義上「人体に有害な細菌を死滅」させることです。
消毒は薬液を使う場合が多く、一般的にはアルコールや各種消毒液を使います。
それぞれの消毒液には特徴があり、「ある種の細菌に効果があるが、ある種の細菌には効果がない」といったもので、人体に有害な菌を消毒できない場合もあり注意が必要なのです。
その点滅菌は非常に効果的なものであるといえます。
滅菌をするもの
診療用基本器材
ミラーやピンセット等の基本的な器材です。
注意しなければいけないのはその器材を置いているトレー等も滅菌されているかどうかです。
手術や基本以外に診療に使う器材
処置内容によって使い分ける器材は直前に滅菌とはいかないので、滅菌終了後保管の必要があります。
滅菌状態を維持したまま保管可能な状態であるかが重要です。
写真は滅菌バッグ(滅菌専用の袋)を使用しているものです。
ハンドピース
歯を削るときに使う器材です。
使用頻度が高い器材で唾液や血液による汚染が多いものです。
圧力をかけ空気と水を噴射するため、停止直後に負圧が発生し唾液や血液を内部に吸い込むことが問題になり、新しいものには逆流防止装置がつきましたが、それでも完璧ではありません。
外側を消毒しても問題は内部の残留物なので、これは滅菌が必要不可欠であるといえます。
実はこれが滅菌されている医院は非常に少ないのが現状です。
それはなぜかというと、通常の滅菌器は約1時間弱の時間がかかるため、本数を多くもっていないと使用頻度から見て対応が出来ない。しかし価格が高いために多くの本数がもてない。高速型の滅菌器があるがこれも高価なもので所有している医院はごくごく少数である。というわけです。ハンドピースは要注意です。ユニット(診療用の椅子)にはじめから装着してある場合はまず滅菌されていません。
高速滅菌器
約3分で滅菌ができる
口腔外バキューム
診療中に飛び散る唾液や削りカスを吸引する装置です。これがあればより完璧でしょう
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